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住井すゑ2

すゑさんの庭

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芋畑や落花生畑に囲まれた静かな住宅街の一角、犬田家の周辺は農家や畑に囲まれて土の匂いや草花が匂う素敵なところである。裏庭は300坪ほど(未確認)で良く手入れされいる。細い石畳の道を進むと雑木林にぶつかり、すぐ近くに牛久沼が見える。でも残念ながらその先は道が無く、降りて行くことが出来ない。すゑさんは木々の隙間から沼を望み、そして水鳥たちの鳴き声を聞いて心を和ませたことでしょう。季節は6月、雨に濡れた庭木からしずくがぽつりぽつり、河童の笑い声が聞こえそうな牛久沼のほとりである。
(平成11年6月20日記)

白鳥のうた
旅立つ白鳥は沼を中心に、茅屋の上空を二度、三度と旋回する。旋回するうちに向うべき方(かた)がきまるのであろうか、やがてくうくう、くくう・・・・とうたいながら、なきながら、列をととのえて北の空に消えてゆく。別離の哀愁と、再開の期待を胸にひめ、ほっと溜息をつくのは、暫く間ををおいてからだ。それまでの私は、ただ漠然と立っている・・・・。
前の年の十二月から、あくる年の三月まで---。それは白鳥にとって長い滞在だったのか、それとも束の間の宿りだったのか、私には謎だ。けれども白鳥に寄せる私の思念(おもい)は同じ地球に生命を保つものとして、当然、彼らにも通じていよう。恐らく白鳥たちは、牛久沼に静けさがもどってきたら・・・・・と、その日を待ちかねているにちがいない。
(エッセイス集「牛久沼のほとり」より原文のまま抜粋)

ここでの白鳥とはオオハクチョウの事で、はるばるシベリアからやって来る渡り鳥である。
農業の近代化や新興住宅の急増、あるいは車社会の到来など騒音の原因は事欠かない。すゑさんはこのような文明社会を嘆き、いずれ白鳥は来なくなるであろう、と懸念されていた。
そして数年が経過した今日、オオハクチョウの姿は牛久沼から消えてしまった。

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