「男はつらいよ・寅次郎真実一路」四
ラストシーン
車(くるま)家に届いたふじ子からの年賀状が読み上げられる。画面は牛久沼へと移り、そこには釣りを楽しんでいる富永親子の姿があった。
あけましておめでとうございます。
不思議な縁で皆様とお知り合いになれたこと、うれしく存じております。
おかげさまで、主人は会社の特別な計らいで退社を免れ、12月1日付けで土浦勤務となしました。
仕事の忙しさは相変わらずですが、以前と比べて主人は私の身近に居る人のように思えるのです。
私たちは毎晩のように寅さんの噂話をしています。
寅さん、今どこにいらっしゃるのでしょうか?
私は、寅さんと一緒にした旅をきっと一生忘れません。
牛久沼は東京からも比較的近く、最近はブラックバス釣りで有名になり、休日はたくさんの釣り客が集まる。しかし、この映画が作られた当時は、ふなやヤマメ、うなぎなどの在来種の魚がたくさん釣れた。沼の生態系が、ここ10年来大きく変わって、最近は外来種の魚が主流になっている。
釣りの好きだった富永はこの変化をどう思っているだろうか。山田洋次監督も予期しなかった自然界の異変である。
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湖のように広い牛久沼
庄兵衛新田(龍ヶ崎市の沼を挟んだ飛び地)より、龍ヶ崎市佐貫駅方面を望む。
勤務先が近くなり、家族団らんの時が持てるようになった富永家族。おそらく休日は親子で釣りを楽しむ機会が増えたのだろう。目の前には牛久沼と言う絶好の釣り場があった。
家族とともに過ごす"ゆとり≠サれは単に、勤務先が近くなったからという、時間的なゆとりだけではなく。土浦勤務という、いわば都落ちによって、出世街道から外れたことによる心境の変化。富永にとって、それが本当のゆとりであった。
出世を夢見てアクセク働くサラリーマンへの警鐘ともいえる作品だが、改めてこの作品を見ると、バブル崩壊後の低成長の日本経済、企業のリストラが日常化している今日において、少々的外れな感じがする。しかし、「家族の絆の大切さは、いつの時代でも変わらないよ」、と山田洋次監督のメッセージが込められている。