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牛久沼の河童伝説一

河童松
その昔、牛久が水戸街道の宿場町として栄えていた当時のお話です。
牛久沼には昔から河童が住んでいました。河童は畑を荒らしたり、魚採りの網を破ったり、あるいは水遊びする子供たちの足をひっぱり、時にはおぼれて死んだ者もいたという。
そこで村人達は河童の退治方法を相談しました。その結果、村で一番強く、また泳も達者な彦衛門に河童退治を命じました。
彦衛門は来る日も来る日も沼を泳ぎまわりました。そして数日後、河童を見つけた彦衛門は大変な格闘の末、ついに河童を陸に引き上げることが出来ました。そして河童は沼辺の大きな松の木にさらしものにされました。
日ごと元気を失った河童は村人に泣きながら「もう悪いことはしません、これからはお百姓さんの役にたつ河童になりますから許してください」とお詫びをしました。村人たちはあまりにも哀れに思い、河童を沼へもどしてやりました。
その後、畑は荒されることも無くなり、そればかりか、沼の周りの浮田では葦が刈られ草が積み重ねてあったそうです。
村人達は河童が約束を守ってくれたと喜び、お礼として、かぴたり餅をつき、小さくまるめて沼へそそぐ川へ投げ込みました。
そして、それは毎年旧暦十二月一日に、水の安全を祈る行事として、長く長く続けられました。しかし太平洋戦争に敗れた戦後の食料統制下では廃止され、以後二度と復活することは無かった。

河童の秘薬
 昔、良庵という医者がいた。
修行を終え水戸街道を北へ向かって二日目、牛久沼が見えてきた。あまりの美しさに沼畔まで降りて沼を見ていたら、草むらに妙なものが落ちていた。それを拾い家路へと急いだ。
その夜の事である。トントントンと戸をたたく音が聞こえた。良庵は不信に思い戸を開けると小さな老人が立っていた。「私は牛久沼の河童です。手を返してください。人間のワナにかかり手を切ってしまいました。私達は代々伝わる秘密の薬があり、これを塗るとどんな怪我でも治ってしまう。だからその手を返してください。お礼に秘伝の薬の作り方を教えてあげます」と、それを聞いた良庵は半信半疑手を返してしまいました。
そして何日かが過ぎ、老人が現れて「おかげで手はもとどおり直りました。これが秘薬の作り方です」と巻物を渡しました。
良庵は巻物どおり作ってみると黒くてねばりのある薬が出来ました。ためしに切り傷に塗ってみるとたちまち治ってしまう。これは凄い、いろいろ試してみるとどんな怪我でも治ることが解った。
良庵は何でもきくこの薬を万応膏と名づけました。万応膏のうわさはたちまち広がり、たくさんの人がこの河童の秘薬で助かったそうです。その後牛久沼ではワナが取り除かれ人間と河童の交流が始まりました。