2002年6月16日(日曜日) 牛久市民センター大ホールにて
「住井すゑの100年〜第5回野ばらの日〜」を、2002年6月16日(日曜日)牛久市民センター大ホールにて開催いたしました。
今回は生誕100年を記念する特別な集いで、早い段階で実行委員会を結成し、各々この日のために準備を重ねてきました。
当日は、全国から1200人を越すファンに来ていただき、皆様と私たちと、そして住井すゑと共にひとときを過ごせたことに感謝いたします。
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| 開演を待つ牛久市民センター |
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| 大ホール入り口に飾られたパネルの数々 |
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| 開演を待つファンで賑わうロビー |
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約1200名のファンで埋め尽くされた大ホール |
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Stopザ有事法制。 |
プログラム
1、あいさつ 小笠原 徹さん
2、ひとり語り「橋のない川」より 向田敬子さん
3、映像「九十歳の人間宣言in武道館」と「ピーマン大王」(住井すゑの語り)
4、パネル・ディスカッション
| パネリスト | 福田雅子さん | 元NHK解説委員 |
| 中根房子さん | 農民作家 | |
| 菊地久一郎さん | 「住井すゑの100年」実行委員長 | |
| 栗原晶代さん | 第一月曜日学習会会員 | |
| コーナー司会 | 姫田晶子さん |
予定されていた寿岳章子さん(国語学者)は体調不良のため欠席され、メッセージをいただきました。
5、1分間スピーチ 会場のみなさん
6、合唱 「野ばら」(シューベルト)
7、あいさつ 増田れい子さん
総合司会 西橋正泰さん(元NHKアナウンサー)
ご参加の皆様へ 呼びかけ人代表 小笠原徹
ご来会いただき誠にありがとうございます。
住井すゑ先生の95年の生涯は、強い波風の中をひたすら歩んでこられた高潔な人生そのものでした。
平等、平和、人権をテーマに訴え続けてこられた先生の作品、思想、行動は、新しい時代にさらに不滅の光を放つことでしょう。
土と人間と自然をこよなく大切にされた作家活動に命を燃やしてこられた先生の生誕100年を迎えることになりました。
今、再び戦争への気配が感じられます。破局の戦争に突入する頃の日本を思い出させるような政治家の言動が露骨になってきました。過去の歴史から学び取ろうとしない独善的な人たちです。
私たちは世界の人々に信頼される反戦平和の思想、反差別と平等の理念、人権意識を心にまとい今後の日本型ファシズムの到来を阻止するために、平和憲法と民主主義を守る力を大きくひろげていきましょう。

薄暗い舞台にもんぺ姿で登場し、「橋のない川」第5部をやさしく語り始める。住井すゑが絶賛したと言う耳で聞く橋のない川の世界。場内は活字とはひと味違う作品の暖かさと力強さに引き込まれていました。
スライドショーをお楽しみ下さい。(下部
をクリック)
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映像 「90歳の人間宣言in武道館」

お待たせしました住井すゑの登場です。西橋氏のアナウンスと同時に場内は暗くなり、住井すゑの姿が浮かび上がると、場内は拍手喝采。懐かしい声が場内に響き渡りました。
映像 「ピーマン大王」
住井すゑの代表的童話「ピーマン大王」を住井すゑ自身の語りで写す、スライドショー

映し出されたピーマン大王の絵本 絵:ラヨス・コンドル
ピーマン大王 あらすじ
ピーマン大王はどんなごちそうにもあきあきしていました。せめて一生に一度はゴクンと喉が鳴る旨いものを食べてみたいと言い続けていました。
そこで、家来たちはもうこの上は海の向こうの国々を探すしかないと考え、世界中の旨いもの探しの旅をする事になりました。ところがどこの国に行っても美味しいものは見つかりません。
行く先々で金をばらまき、こんな調子で旅を続けて7年7ヶ月がたったある時、一人の若者が大王に近づき、「緑が島へ行けば必ずゴクンとうなるような美味しいものが有ります」と言いました。そこでピーマン大王と家来たちは、緑が島へ行くことに決めます。
ピーマン大王と家来たちは33日かけてようやく緑が島へ着きました。おいしいものがいっぱい!パンのにおいもするぞ。そして目的の料亭に着いたピーマン大王の家来は給仕に向かって最上級の料理を要求しました。ところが給仕は「この国では、食事前の1時間は畑を耕していただく決まりがあります」。これを聞いた家来たちは怒り狂い、船いっぱいの金を出すから何か食べさせてくれと訴えます。しかし給仕は、「この島にはお金なら余る程ありますよ、もしなんなら帰りの船に積んで帰ってください」と言いました。
ピーマン大王と家来はあきらめて、それぞれ鍬を持って畑に行きました。どっこい、ひとくわ。うんすら、ふたくわ。
ピーマン大王は「ああ、喉が渇いた、水、水が飲みたい」一口水を飲んでゴックン!、二口水を飲んでゴックン!旨い。大王さまのノドが鳴りました。
家来たちはピーマン大王のしぐさは、まるで百姓奴隷と同じ姿に見えたので、ぽかんと口を開けて眺めていました。
パネル・ディスカッション「今、住井すゑが語りかけるもの」

水平社宣言や住井すゑの作品『橋のない川』『向い風』について。
それぞれの想いを語って頂きました。
合唱 「野ばら」

生前、住井すゑが大好きだったシューベルトの“野ばら”を
参加者の皆さまと共に歌いました。
一分間スピーチ
「生きる勇気をいただいた」「平和へのメッセージ」など、約20人の方がそれぞれの想いを持ち時間いっぱい使って、語っていただきました。
あいさつ 増田れい子さん

最後に「母 住井すゑ」でお馴染みの作家、増田れい子さんがお礼のあいさつをされました。
母は「橋のない川」を生みましたが、こんな可愛い子も生んだのですよ。自分のことを可愛いと言ったのは初めてかな。
と、ユーモアたっぷりに話していただきました。
お陰様で「住井すゑ生誕100年の集い」は大盛況のうちに幕を閉じました。
皆様、ご協力ありがとうございました。
住井すゑは永遠です。これからも住井すゑと共に歩みましょう。
向田敬子プロフィール
1942年、名古屋市に生まれる。
柳城女子短期大学卒業。 国立音楽大学声楽科卒業。愛知県立芸術大学マイスタークラッセ終了。
1994年に牛久沼に住井すゑさんを訪問以来、1997年6月に他界されるまで交流が続く。
現在、『橋のない川』ひとり語りの公演を各地で続けている。
2002年10月4日、西国分寺・いずみホールにて「第7部」初演予定。
福田雅子プロフィール
1934年、和歌山県有田市生まれ。同志社女子大学英文学科卒業。ノルウェーオスロ大学でノルウェー語を学ぶ。
元NHK解説委員で、世界人権問題研究センター主任研究員。アジア・太平洋人権情報センター理事。ジャーナリストとして人権問題に関わる。
実行委員会代表
小笠原 徹
菊地久一郎
第一月曜の会
先日も、いつものように、先生のお宅に寄らせていただいた。
初冬とあって、かつて私の背丈と競争していた桜の木も、寒そうながら、堂々たる姿を示していた。先生が地球のエクボと愛でた牛久沼も、夕陽に映えて変わらずに美しかった。
いのちの尊さが認知され、人類の真理になったと思われて久しいが、世界では、アフガニスタンやパレスチナをみるまでもなく、戦争や貧困により、いのちは軽んぜられ、ことに幼いいのちは、幼いが故に傷つき、失われていくことも少なくない。
日本では最近生まれた一つのいのちをめぐって、マスコミが大騒ぎをし、国会で全政党が祝賀することを決めたという。
まさかと思った海外派兵も、国際協力の名のもとに平然と行われることになった今日、誰もが手放しで、一人のいのちの誕生のみを、日の丸をかかげて祝賀することが当然と思う社会は、いつか通ったあの道と、私には思われてなりません。
貧富の差、文化の違いをはじめ、争いは不平等より発します。世界中が戦争とテロの拡大に恐れを感じている現在、平等は平和の原則と訴え続けた先生の心を、より多くの人々の心とするために、「住井すゑの生誕100年」の集いの成功に向けて力を合わせましょう。
菊地久一郎