雑木林の散歩道

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木漏れ日の道

ニュータウンの雑踏を抜け、ちょっと脇道へ足を踏み入れると驚くばかりの静けさだ。クヌギやスギの木立が高々と伸び、木々の隙間から陽光が射し込む。

この風景は数100年の昔と同じ姿をしているのだろうか、時の流れを一瞬忘れさせてくれる。木漏れ日の道は細く くねくねしている。ゆっくり歩こう、小鳥たちの鳴き声を聞きながら。

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竜ヶ崎ニュータウン、松葉三丁目の洋菓子店「アルドゥール」前の道を入り約300m程進むと、右手に森の入り口があり、このような道が続きます。

耳を澄まして小鳥たちの歌を聞きましょう。静かな林にこだまする小鳥たちの大合唱を。

歌をうたいましょうトトロの歌を。ほらそこにトトロがいますよ。

呼んでみましょう大きな声で、きっと、きっと、トトロの姿が見えるでしょう。

トトロは映画「となりのトトロ」であまりにも有名なキャラクターです。映画の背景は一説によると40年程昔の所沢(埼玉県)だと言われています。

しかし今では一映画の所有物ではなく、日本人の心の中に住みついた、可愛い怪獣です。そして自然愛や人間愛の代名詞的な存在だと思います。ですからトトロは美しい自然が守られている所なら、日本のどこから出没しても不思議ではありません。

ほら!!あなたの隣にもトトロがいますよ。

ファンタジックな神社

水田や芋畑、花畑が続く、杉の大木が立ち並ぶ、草の香りや土の匂いがする。

ふと振り向くと木の階段がある。その階段をトコトコと登ると小さな祠がある。多分民間信仰の祭壇であろうか。なぜか昔話の舞台を連想してしまう。

若柴では多くの家が屋敷の一隅に氏神様を祭っている。ご神体は、自然石であったり、石の祠であったりする。
この祠はT家の氏神様で鬮(クジ)神社といい、次のような伝承が残っている。、
  1. クジ神様はT家の氏神様で、クジ(運)の神様だった。
  2. 昔、徴兵検査などのかけごとの、願掛けに参りに来たという。
  3. 昔、佐倉惣五郎が隠れたという。そこには杓文字があって、これを借りてご飯をよそると「メシトル」といって風邪が治るという。

牛め坂

鬮神社から"古い古い街道"を御手洗池に向かうと、すぐのところに右に曲がる坂道がある。
"古い古い街道"は名前すら残っていないが、坂道には名前が付いている。その坂道は「牛め坂」と呼ばれ、おそらく牛車でも引いていたのだろう。なかなか登らない牛に「この牛め!」と鞭を打ったと伝えられている。
坂道は生活の息吹が感じられる場所であり、いつまでもいつまでも人々の記憶として残るのでしょう。

牛め坂

忘れられた街道

江戸時代に、水戸街道の整備が進むと、それまでの古い街道はさびれ、日々忘れられた存在となる。

鬮神社から少し西に足を進めると杉の木が並木のごとく並んでいて、御手洗池と言う枯れ池まで続いている。


そうだ、この小径こそ古い古い街道なのだ。

それは、当時の人たちの生活道であったとともに、戦国武士たちが傷ついた躰を鞭打って歩いた道なのだ。


御手洗池の周りは、高々と伸びた杉の木に遮られ木漏れ日さえ当らない。南に延びている竹林の小径を登って行くと江戸時代に整備された水戸街道に出る。木々に遮られて分りづらいが、二つの街道は平行して東西に伸びているのである。

杉の木が並ぶ古い古い街道

御手洗乃池

古い街道は森の中で二手に分かれる。その角に御手洗乃池という枯池がある。

御手洗乃池

御手洗乃池には次の言伝えが残っている。
御手洗乃池の淵には大きな欅が聳えていている。この欅を伐ってはいけない、また枝を落とすのも、落ちている枝を拾うのもいけない。触ると運が悪くなると云われている。
若柴のご祭神は首に鰻が巻きついている。そのことから鰻を食べると目がつぶれると云われている。だから村人は決して鰻を捕らないし食べない。もし誤って鰻を捕ってしまった場合は御手洗池に放したという。
御手洗池には鰻がうじゃうじゃいる。日照りで水がなくなると、水の底から地面を伝って海に出たといわれている。
目の悪い人が、鰻を御手洗池に放すと目が良くなると言われている。また、この池の水で目を洗うと結膜炎が治るという。

若柴のご祭神とは星宮神社の祭神のことで、若柴ではこの言伝えを代々守り続け鰻を食べなかった。しかし、最近ではこの禁句を守っているのは高齢者のみで、若年者は地区外なら食べてもよかろうと考えている。

このコーナーで紹介した写真と情報は、若柴町、主に向原地区の自然豊かな素朴な風景です。

日本全国津々浦々どこにでもある平凡な風景と言ってよいでしょう。

しかしこの場所は南側に佐貫駅前開発地区、北側は竜ヶ崎ニュータウンの開発と、周辺は大きく都市化が進んでいます。

そんな中で、都市化に取り残された場所と言ってしまえばそれまでですが、そこには人の手によって開発しきれない何かがあったからこの様な自然が残されたのでしょう。

それゆえ平凡なはずの風景が見る人によっては輝きを醸し出して見えるのです。


竜ケ崎ニュータウンは多くの公園や並木通りに囲まれた素敵な町です。しかし人間が英知を振り絞って造った美しい町も、この素朴な自然を前にして、まさることが出来ないのです。


今もニュータウンは大きく大きく発展を続けています。駅前地区も同じです。でもこの場所は10年後、いえ100年後も今と同じ姿をしていることでしょう。