第8回

第一月曜学習会主催、最後の「野ばらの日」

2005年6月19日(日曜日)PM 1:00 於、抱樸舎
 今年も抱樸舎の庭には色とりどりの紫陽花が咲きました。すゑさんもこの紫陽花を眺めては季節の移り変わりを愉しまれていたことでしょう。
 さて、平成17年6月19日(日)晴天。第一月曜学習会主催、第8回「野ばらの日」を開催いたしました。新聞紙面等で、今回が最後と報じられたため、例年よりたくさんの住井ファンが県内外から詰めかけてくださいました。1階席及び2階座敷席を合わせて150人もの方が、僅かなひと時を住井すゑの面影とともに過ごされました。
 今回はゲストに演劇家の向田敬子さん、そして住井すゑさんの次女であり作家の増田れい子さんをお招きいたしました。そして飛び入りゲストのイラストレーター永田萌さんは、今回が最後と聞き京都からわざわざ駆けつけてくださいました。

小島さんの挨拶

向田敬子さんの一人語り

「『橋のない川』第三部をいつもは90分にまとめて、お話しているのですが、今日は特別に50分に纏めました。」と向田さん。兄誠太郎から孝二宛の手紙を中心に、その兄が米騒動に巻き込まれて行くくだりを演じていただきました。

増田れい子さんのお話

今日は、父の日だからね。父の話をしなければ。でも母は父親役もかねていたからね。
 父犬田卯は小作農をしていて、農民の暮らしの貧しさ辛さを知り尽くしていたのです。その貧しさを救うために父はペンをとったのです。それがフランス革命をテーマにした作品『農民が見たフランス革命』の翻訳だったのです。この作品はとても面白いのですよ。今、私は父の遺業を世に出すため『農民が見たフランス革命』を誰にでも読める文章で翻訳しています。来年の「野ばらの日」には間に合わせたいですね。
 母はね、こんな父のことを、惚れ抜いて惚れ抜いていたのですよ。

永田萌さんのお話

夫から「自分の大切な人が牛久沼の近くに住んでいるから君にも合せたい。」と言われて電車に乗ってくる途中、それが住井すゑさんと分かった時はどうしていいか分からず尻込みしてしまいました。ところがお会いしてみると、「あら、萌ちゃんいらっしゃい。よくきたね。」と、優しく声をかけてくださいました。それが住井さんとの始めての出会いでした。それからというもの、住井さんにはほんとに可愛がっていただきました。そして、最後の作品となった「いのちに始まる」の表紙を自分が描くことになったのです。出来上がった本を見て「綺麗な本が出来たね」と、おっしゃいました。ある時、『橋のない川』(未完の8部のこと)の主人公はその後どうなりますか?と尋ねた際、遠く庭を眺めながら「さあ、どうなったんだろうね」と、つぶやかれた住井さんのことがいつまでも心に残ってます。

1分間スピーチ

1分間スピーチではファンを代表して8人の方にお話しいただきました。人権平等、命の大切さ、憲法9条に対する熱い想いを語っていただきました。

第一月曜学習会主催 「野ばらの日」はこれでおわりましたが、住井すゑの集いは永遠です。来年からは違う形で「野ばらの日」は開催されます。また命日が近づく頃は抱樸舎にお集まりください。