第1回-第4回

第一回 野ばらの日

1998年6月21日

住井すゑが他界してはや1年、平成10年6月21日牛久市城中町抱樸舎にて、第1回「野ばらの日」を抱樸舎第1月曜学習会が中心となって開催いたしました。住井すゑは生前シューベルトが好きで、特に「野ばら」をよく愛唱していた事から、会の名を「野ばらの日」と命名しました。
当日は遠方からの参加者も多く、抱樸舎会場は100名を越すファンで埋まり、席のない方のために急遽犬田氏自宅の和室を開放してテレビ中継による対応をしました。

犬田章氏による「母を語る」

犬田氏は住井すゑさんの長男で、元大蔵省に勤務され、 財政方面で活躍された方で、現在は機関雑誌「竜ヶ崎文学」で執筆活動をされています。

「自分は新聞や雑誌などで母の記事を読んで初めて母を理解した。私は母を語る資格は無い」、と前置きしながらも、話しの内容はやはり親子でなければ分からない、肝っ玉かあさんぶりや、裏話などを中心に終始ユニークに語られました。たとえば長生きの秘訣として、歩くことが好きだったことや、言いたい放題のことを喋ったことや、適度にアルコールをたしなんだこと等で、時には手厳しい発言もされましたが、言葉の隅々から情愛に満ちたものが感じ取れました。別の一面の住井すゑのことを聞くことが出来き、30分の予定が1時間15分と大幅に超過しましたが、皆さん大喜びの様子でした。

そのあと抱樸舎会員による作品(橋のない川四部)の朗読が行われ、最後に「野ばら」の合唱で会は幕を閉じました。

第ニ回 野ばらの日

1999年6月20日

牛久沼に初夏の訪れとともに、ほんのひと時を住井すゑと共に過ごす日がやってきました。
そうです、「野ばらの日」です。
早いもので旅立たれてから2年です。そして住井すゑの生きた1900年代最後の年です。今年も多くの方がそれぞれの思いを込めて抱撲舎に集まりました。

人形劇 『七夕さま』

住井すゑ原作、新潮文庫『わたしの童話』より、人形劇団あるぼの旗揚げ公演として「七夕さま」が上演されました。

広い広い中国大陸の西と北とのあいだ、山西省とよばれているあたりに五人の地主がいました。
地主というのは、山や田んぼや畑をいぱいもっている人のことです。
いっぽう、山も田んぼもない人たちは、たのむようにして地主のもとで働きました。地主たちはどんどん物持ちになり、お金持ちになりました。、、、、、、、、、、(序文をそのまま抜粋)

人形劇団あるぼのメンバー

講演、住井すゑの生涯

北条常久先生(聖霊女子短期大学教授)による講演

北条先生は生前住井すゑと親しく交流があり、現在住井すゑの伝記を執筆中との事。
純朴な農村の少女だった住井すゑが、犬田仰との出会いによってプロレタリア文学へ惹かれ、農民文学作家へと成長するさまを、二人の出会いや犬田仰との交流関係などエピソードを交えて解説されました。
話の内容はユーモラスで面白く、住井すゑの意外な一面を知る事が出来ました。

その他

NHKアナウンサー西橋正泰さんによる朗読「橋のない川一部」

参加者によろ2分間スピーチ

フルートの独奏「宵待ち草」他

参加者全員による「野ばら」の合唱

最後、参加者全員にばらの花がくばられました。

第三回 野ばらの日

2000年6月18日


前日から降り続いた雨はやみ、晴れ渡る夏空が広がりました。まさに梅雨の晴れ間。今年も牛久沼畔の城中抱樸舎にて住井すゑをしのぶ会「野ばらの日」を開催いたしました。全国から約150人のフアンの方に来て頂き盛況な催しとなりました。6月18日はちょうど3年目の命日でした。

この日は元出版者勤務川瀬俊治さんをお招きし、晩年の住井すゑの思い出を語って頂きました。
すゑさんと京都、明日香に取材旅行をした時の思い出などで、孫のような自分を、編集者として対等に扱ってくださったことや、すゑさんの人間平等に対する独自の宇宙観について語って頂きました。その中で、すゑさんの人間平等思想の原点は、天皇陛下の" うんこ ”に始まるという、実にユニークなお話を聞くことが出来ました。

引き続き昨年同様、西橋正泰さんによる「橋のない川」の朗読、2分間スピーチ、そして参加者全員による「野ばら」の合唱をしました。

第四回 野ばらの日

2001年6月17日

不思議な事ですが、毎年のようにこの日は好天に恵まれています。梅雨の晴れ間と言うか、前日の雲り空が嘘のように太陽が眩しく輝いています。そして抱樸舎の裏庭には白や紫の紫陽花が満開で初夏の日差しを浴びています。好天に恵まれて住井すゑを偲ぶ会「野ばらの日」が開催出来たことを嬉しく思います。

今回は、二年前まで美浦村の村長を16年間務められた市川紀行さんをお招きし、地域づくりの精神についての素晴らしいお話をして頂きました。
村長としての地域づくり、それは陸平縄文の里であったり、老人医療の無料化や美浦養護学校の設立であったり、それらはみな住井精神に守られて成し得た事であった。その精神とは人間の感性とか感覚を大切にした地域づくりであり、人間の命を大切にしてこそ、本当の意味で文化と言えるのであると。
1時間余りのお話の中で、住井すゑの考え方や生き方の素晴らしさを改めて知ることが出来ました。
最後に市川さん自ら作詞された「陸平よ遙かに」という歌を唄われ、澄んだ歌声が室内に響きわたり和やかな雰囲気となりました。

引き続き恒例の西橋さんによる「橋のない川」の朗読、2分間スピーチと続き、フルート演奏、そして「野ばら」の大合唱で幕を閉じる予定でしたが、最後に飛び入りで、すゑさんの長男、犬田章氏の挨拶がありました。

♪わらべは見たり
      野中のばら
清らに咲ける
      その色めでつ
あかずながむ
      くれないにほう
野中のばら ♪