蛇沼の民話

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蛇沼の主、一
昔、鎌倉健五郎景政が奥州征伐に行くとき、蛇沼で釣りをした。そこに大蛇が出て景政が大蛇の口を刀で切ってしまった。以来蛇沼の大蛇はかたっぽの口が大きくさけているという。その大蛇が蛇沼の主だという。
蛇沼の主、ニ
その人は朝ご飯を食べる前、推肥を作るために蛇沼に草刈りに行くのが日課だった。そんなある日、見知らぬ人が蛇沼の方に向かっていった、見ると草が一尺幅沼に向いてずっと倒れている。不思議に思ってその先を追ていったら、白い大蛇が沼に入っていった。それは蛇沼の主だという。白い大蛇を見たあとその人は2,3日寝込んでしまった。
蛇沼の主、三
蛇沼は四十八の谷があって大蛇が住んでいるという。夏の夕暮れ、竜ヶ崎の商いの人が泉へ来ていた。そして戻る途中、貝原塚の手前で一服しようと腰をおろした。すると、右側の山の中からガサガサと押し分けて来る音がする。見ると馬のような頭の大蛇が首をもたげていた。その人はそりゃびっくっりして飛んでかえったという。
蛇沼の松
蛇沼の沼の中に大きな松がある。その松は大蛇が日向ぼっこするので皮がツルツルになっているという。
鴨取り権兵衛
ある日蛇沼へ鴨撃ちにいった権兵衛は、撃ち落とした鴨が、岸から離れた沼の中だと知ると、崖からズズットすべって沼の中へ入った。そしてやっとのことで鴨をつまえたのだが今度は上がるのが大変。崖になっていてなかなか上がれない、そのとき赤い木の根子があったのでちょっとつかまったら、それは昼寝をしていた兎の後ろ足だった。おどろいた兎は、ガリガリと前足で土を堀り払った。そしたらそこから山芋がぞろぞろ出てきた。やっと這い上がり、着物を脱いでみると、はいていた股引から小さな魚がいっぱい出てきた。一度に鴨と兎と山芋と雑魚をごっそりとった権兵衛はご満悦であったという。一石四鳥のお話。

蛇沼

茨城自然100選