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大徳二十三夜尊 薬師寺

山院号は瑠璃山東光院、小野逢善寺を本寺とする天台宗の寺院です。

元禄元年以前(17世紀後期)に豪龍によって永福寺の隠居寺として開山されました。本尊は阿弥陀如来ですが、本堂には薬師如来が安置されていて、古くは薬師堂が主体だったと考えられます。

また、この寺は勢至菩薩(せいしぼさつ)が合祀されていて大徳二十三夜尊薬師寺といわれています。月は勢至菩薩の化身といわれ、陰暦23日の夜に月待ちして祈れば、五穀豊穣、出世開運等様々なご利益があるとして近郷の信仰を集めています

本堂前の狛犬は蛙の姿をしています。住職の話によると、古代中国では、月には兎のほかに蛙が住んでいると考えられて、蛙は縁起が良いそうです。ある陶芸家が、当寺院の二十三夜尊にお願いごとをしたところ、横浜に出て大成功をしたので、その恩返しに蛙の形をした狛犬を焼き寄進したそうです。

二十三夜尊に関する次の言い伝えがあります。「元禄元年陰暦11月23日の夜、旅人が大徳村上大徳の追分にさしかかった所、もの影から盗賊が現れ、旅人に斬りかかった。恐怖のあまり、道のかたわらにあった道標の影に身を隠した所、盗賊の前に、三体の仏像が現れた。盗賊のおろした刀は、“カチン、カチン”と音を立てて、遂に折れてしまった。驚いた盗賊は何も取らずに逃げてしまった。旅人は、身を守ってくれた道標を手で探って見ると『二十三夜尊』と読めた。頭を上げると、二十三夜の月が宝舟のように上がってきた。そこにも三体の仏像がある。中央の仏様には左の目に切り傷のあとがある。この二十三夜尊の道標が旅人を助けてくれた話が伝わるとたちまち評判になり、翌日から参拝者が後を絶たなかった。」

行事については、古くは毎月23日に護摩修行が行われましたが、その後正月と5月、9月、11月に護摩が焚かれ、本尊は午の年に開帳されています。護摩修行とは密教寺院特有の修法で、仏の智慧の火(護摩)をもって煩悩を焼きつくすことを意味した儀式です。

平成17年から6月に日光修験道山王院修験者による火渡り(採灯護摩大火生三昧法要)が行われています。火渡りは、山伏の秘法であり、山伏が深山に修行しその霊験をもって燃え盛る火に火伏せをかけてその中を歩くことによって悪業を清め本尊の利益を戴くことが出来る有難い行といわれています。

現在の本堂は昭和21年(1946)翌22年にかけて第1回の宇堂修復を行い、二十三夜信仰を中心とした教化を弘布(ぐぶ)し、人々に仏法健在なりを植え付けました。こうしたことが基盤となり、昭和56年(1981)、本堂の改築が完了しました。なお本堂西側の聖天堂は平成29年(2017)に落成しました。